だいぶ遅くなってしまったけど、なんとか今年中に記事をアップできそうです。

毎年上演する作品ではありますが、オーケストラの生演奏による上演は実に
10か月ぶり。インスタをやっているダンサーさん達の「思わず涙が出た」という
コメントに、こちらもじーんとなりました。演奏者の方々にとっても
感激ひとしおの公演だったのではないかと思います。そして観客にとっても
やはり生演奏がいい!!と実感した公演でした。

この回、クララは吉田このみさん、マリー姫が小林美奈さん、くるみ割り人形が
栗山さん、ドロッセルマイヤーはこの公演が最後となる宮尾さん。
私が一番観たかったのは栗山さんですが、宮尾さんのドロッセルマイヤーも
彼の当たり役の一つですね。

Kバレエの『くるみ割り人形』ってストーリーがわかりにくいのがちょっと難点。
冒頭に出て来るマリー姫もいきなりネズミのお面をかぶっていて、プログラムを
買わないひとにとっては???となります。ここもう少しわかりやすくできないかな。
それでも小林さんの仕草やオーラがとても美しく気品にあふれていたのはさすがです。

シュタールバウム家のクリスマスパーティーの場面。ドロッセルマイヤーは
郵便配達の人として登場。以前は、人形の国の王様からドロッセルマイヤーが
使命を与えられる場面があったのですが、演出が変わり、観客は彼が何者なのか
わからないまま観ることになります・・・そして徐々に「むむ?この人、普通の
人間ではないな?」となるのですが。
この場面でいつも注目しているのが酔っ払いパパ。今年はランシエさんでした。
『海賊』でのさらわれるお金持ちといい、なんかいじられたり、イロモノ系が
続いているような・・・でも酔っぱらいつつもちゃんと踊りは踊っていましたね。
もう一人クララとフリッツのおばあちゃん役もずっと気になっていました、
いったいどなたなのかな・・・もしかして往年のプリンシパルだったりして?
・・・と。そして今年ようやくわかったのです!若いダンサーさんなんですね!
お年寄りのフリをしているだけだったのか・・・。でもようやくわかって
すっきりしました(笑)。
ねずみにさらわれてしまったくるみ割り人形を助けるために、クララが時計の中へ。
クリスマスツリーがどんどん大きくなって、人形の国の場面に変わります。
人形の国での戦闘シーンはコミカルで可愛い。Kバレエらしく、負傷したねずみを
運んでいく救急隊が出て来たり、大砲の球がチーズだったり、芸が細かいのです。
いったん死んでしまった(?)くるみ割り人形が、ドロッセルマイヤーの魔法(?)で
生き返り、一瞬素顔を見せるところ。ちょび髭の仮面が取れて栗山さんの優し気な
美しいお顔が見えるとものすごくテンションあがります。この瞬間のために
栗山王子の回を選んだと言っても過言ではないくらい。今回も大満足(笑)。
この後のパ・ド・トロワ、リフトの多いすごく難しそうな振付ですが、その分
迫力があってワクワクしました。吉田さんもしっかり音楽に合わせた動きで
とてもよかったです。

そしてそこから場面が雪の国に切替わります。幕一枚が切って落とされるだけで
本当に冷気を感じるような一面の銀世界が現れる、この瞬間も大好きです。
そこに冷たい表情で佇む雪の王(石橋さん)と雪の女王(毛利さん)。毛利さんの
雪の女王、昨年初めて観た時は少々意外に感じましたが、2回目なので
馴染んでいましたね。お2人ともテクニックも安定していました。コールドも
よく揃っていて綺麗だったし、楽しめた雪の国でした。

2幕は人形の国。ねずみの王がやっつけられて、クララがクラカトゥク胡桃を割ると
くるみ割り人形は王子の姿に戻ります。マリー姫も美しい姿に戻って登場。
花のワルツ、前はクララも途中で一緒に踊っていたように思うのですが記憶違いかな?
そしてキャラクターダンス、最初はアラビア。成田さん、高橋さん、杉野さんという
豪華キャスト。成田さんは妖艶な役もできますね。素敵でした。
スペインは応援している田中大智くんがいてガン見してしまいました。よかったです。
中国人形は河合さんと本田さん。河合さんはやはりこういう、キュートな役が
お似合いですね。ロシア人形は酒匂さんと佐野さん、これは定番キャストかな?
ひざを痛めそうな振付ですが、お2人ともさすがの動きでした。
フランス人形と兵隊さんたちの踊りも可愛かった。
クララとドロッセルマイヤーは時々優しい表情で視線を交わしていました。

そしてマリー姫と王子とのグラン・パ・ド・ドゥ。ようやく音楽が美しいと
感じられるようになりました。最初のポーズを取りながら歩くところは
お2人の美しい姿に惚れ惚れ。とても難しい振付だそうですが、素人の私は
あまりよくわからないまま、ただただ「綺麗だわ~・・・」と観ていました。
でもこの場面が終わると、物語も終盤です・・・。
最後にマリー姫、王子、クララ、キャラクターダンスの全員がユニゾンで
踊るのも、迫力があって好きです。

帰りたくない、とドロッセルマイヤーに願うクララですが、魔法で眠らされ
自室のベッドに。寝顔を見つめるドロッセルマイヤーの慈愛に溢れた表情が
今回は特別に印象深かったです。以前はいかにも異界の人というように
ポーズを取ったまま地下へ消えていきましたが、今回はゆっくり舞台袖に
歩み去っていくドロッセルマイヤーでした。
目覚めたクララがお姫様と王子の人形を抱きしめるシーンで幕。
いつ観ても幸せな気持ちになる最終場面です。

どうもダンサーさんの人数が減ってしまったように見受けられましたが、
(マリー姫もこの回は当初違うキャストでしたしね・・・)
そんな中頑張って、とても素敵な作品を作り上げてくれたと思います。
音楽も、やはりオーケストラの生演奏が嬉しく、ワクワクさせてくれます。
久しぶりに耳も楽しませてもらえました。

カーテンコールではもちろん宮尾さんに特別大きな拍手が送られました。
特別宮尾さんファンというわけでもない私ですが、宮尾さんの
Kバレエへの貢献度は高かったんだろうな・・・と思ったら、
思わずスタンディングオベーションに参加していました。
長い間お疲れさまでした&素敵な舞台をありがとうございました。

これで今年のバレエ鑑賞は最後です。劇場で観られて幸せでした。
コロナのせいで観るはずだった舞台が何度も観られなくなった1年でしたが
映像配信という新しい試みができたのは収穫なのかもしれませんね。
そして劇場へ足を運べば、ダンサーさん達、オーケストラの演奏者さん達が
期待を裏切らない素晴らしいパフォーマンスで楽しませてくれました。
状況はしばらく変わらないかもしれませんが、来年も楽しみにしています。
皆さまどうぞよいお年を~。

くるみ割り人形キャスト2021
キャスト表
 
くるみ割り人形2020年
今年のキーホルダーは"アラビア" です