新国立バレエの記事を書くの初めてですね。
関係者にコロナ感染者が出たため、本公演は中止になってしまいましたが
8日になって「無観客上演し、ライブ映像を配信する」とのニュースが入ってきました。
なんと視聴料無料!どれも観たことのない作品だったので楽しみでした。

映像冒頭は吉田都芸術監督のご挨拶。都さんの落ち着いた口調と穏やかな笑顔に
安心感を覚えました。
<第一部>
・パキータ
本来全幕ものの作品ですが、ほとんどの場合は第3幕のグラン・パ(結婚式の部分)
のみを上演するとのこと。今回は第一幕のパ・ド・トロワが挿入された形で
踊られました。
最初に登場するコールドは、全員深紅の衣装で華やか。この状況を考えれば上々の
出来だったと思います。ソリストは(ダンサーさんにもよるけど)、やはりもう少し
練習時間がほしかった・・・という部分があったかな。
途中のパ・ド・トロワは池田さん、柴山さん、速水さん。先日映像で観た
『ドン・キホーテ』の速水さんが素晴らしかったので、嬉しかったです。
3人とも堅調な踊りでした。
主役の米沢唯さんと渡邉峻郁さんの安定したパ・ド・ドゥは素晴らしかったー!
これぞクラシック・バレエというパフォーマンスを堪能できました。

<第二部>
・Contact
木下嘉人さんによるコンテンポラリー作品。ダンサーは小野絢子さんと木下さん。
たぶん珍しい組み合わせですよね。コンテンポラリー苦手ですが、この作品には
難解な動きがほとんどなくてストレスフリーで観られました。小野さんと木下さんの
パフォーマンスはさらりとしつつ余韻を残し、好印象でした。
・ソワレ・ド・バレエ
ダンサーは池田理沙子さんと中家正博さん。濃紺や紫の衣装や星空の背景は
クラシックバレエらしくて素敵だったんですが・・・なんとも中途半端に
感じられてしまい残念。練習不足で"見せる/魅せる"ところまでいっていないのか、
振付のせいなのか。もしかしたら超絶プロポーションのロシア人とかなら綺麗に
見えたのかも、なんて思いました。
・カンパネラ
有名なリストのピアノ曲に合わせて貝川鐵夫さんが振りつけたコンテンポラリー作品。
福岡雄大さんが、上半身は裸、下半身に剣道の袴のような黒いスカート?でソロを
踊りました。福岡さんは堅調、といったところ。
<第三部>
・ペンギン・カフェ
音楽も現代のもの、振付もバレエではなくモダンバレエっぽいものもあれば
競技ダンス風も、民族舞踏風もあり・・といった作品。ダンサーの半分くらいが
動物の被り物を被ったり着ぐるみを着たりして踊るのもユニーク。
ペンギンのカフェのシーンは楽し気で和気あいあいとした雰囲気。次に出て来る
"ユタのオオツノヒツジ" は米沢唯さん。被り物でお顔が見えなかったのですが
ヒールの靴を履いた素足に近いおみ足の美しさにびっくり!唯さんとペアを組んで
踊ったタキシード姿の井澤駿さんは長身、イケメンに加え華がありとっても
素敵でした。次の"テキサスのカンガルーネズミ" はソロで踊りっぱなし。
中に入っていたのは福田圭吾さん。次は"豚鼻スカンクにつくノミ”という面白い設定。
ノミ役は五月女遥さんでした。
次の "ケープヤマシマウマ" では人間の女性を象徴するような女性ダンサーさん達が
8名登場。唯さんもいました。最先端のプレタポルテのような衣装を着た皆さんは
美いのですが、シマウマが撃たれて死んでも気にも留めない・・・という
作品のテーマが浮き彫りになるような展開でした。
ケープヤマシマウマの役は奥村康佑さんでした。ダイナミックな動きがよかった。
熱帯雨林の家族は、本島美和さんと貝川鐵夫さんと岩井夏凛ちゃんという子役。
ここの動きはコンテンポラリーだったかな。
"ブラジルのウーリーモンキー"役は福岡さん。これもバレエではない踊りで
新鮮でした。
その後は登場人物(?)が全員集合し、被り物も外して踊ります。シマウマ役だけ
なぜかそのままだなー・・と思ったら、あれは被り物ではなくシマウマの
メイクだったからなのですね・・・が、途中から突然、ひとり、
またひとり・・・と倒れる人間と動物たち・・・残された生き物たちは嵐
(?酸性雨と思ったのは私だけでしょうか・・)の中を逃げ惑います。
そして最後に舞台に現れる箱舟・・・生き物たちはその箱舟に乗って、将来を
目指すのでした。
シリアスなテーマながら、音楽も振付も明るく軽やかで多彩なので、楽しんで
観ることができました。また唯さんになってしまいますが、最後に被り物なしで
髪を下ろして踊る姿が本当~~~にお綺麗で素敵でした!たぶんとても貴重なものを
見られたのだと思います。
画像左下にある視聴者数をふと見たら、2万5千を超えていました。
観たい方がこんなにいたんですね~。私もこれからはもっと新国立バレエも観よう。
前述の通り映像での『ドン・キホーテ』も観たのですが、その感想はまた後日。